クラウド # PVS One # クラウドシフト・リフト

企業の基幹システムを支えるIBM i(旧AS/400、iSeries)は、その堅牢性と信頼性から多くの日本企業で長く活用されています。しかし、この重要なシステムを維持するために情報システム部門が直面する、数年に一度の「システム更改」は、情報システム部門にとって数年に一度の巨大なプロジェクトです。
多くの場合、5年から8年ごとに発生するこの作業は、単なる機器の入れ替えでは済みません。
選定から見積もり、稟議、計画、移行、そして徹底的なテストなど、この一連のプロセスは、IT担当者の貴重な時間とリソースが大きく費やされることになります。
そのため、目の前の喫緊の課題への対応や、本来注力すべきDX推進など、より戦略的な業務に割くべき時間が、システム更改プロジェクトに奪われているのが現状といえるでしょう。
「また5年後か…」「もう勘弁してほしいな…」—正直なところ、そう思っているIT担当者の方も少なくないのではないでしょうか?
本記事では、この繰り返されるシステム更改の負担がなぜ生じるのか、その根本的な原因を探るとともに、IBM i のクラウド移行がいかにその負担を軽減してくれるのかなど、具体的なメリットも併せて解説します。
従来のオンプレミス環境がもたらす3つの深刻な課題
従来のオンプレミス環境でIBM i を運用している場合、システム更改が発生するたびに、以下のような課題に直面し続けることになります。
1. 初期コストを押し上げる「先行投資」の必要性
オンプレミスでIBM i を導入する際、担当者は5年から8年という長期間の運用に耐えうるシステムスペックを「予測」して購入しなければなりません。そのため、ディスク容量、メモリ、CPUコア数など、数年後のビジネス成長、データ増加、ユーザー数の増大を見越して、オーバースペックな構成を組むことが一般的です。
しかし、これは裏を返せば、直近では不要なリソースに対しても、多額の先行投資が必要になることを意味します。これにより、初期コストが膨らむだけでなく、現在のビジネス規模と比較して投資効率が悪い状態が数年間続くという、避けられない課題が生じます。
2. 「隠れたコスト」による全体コストの管理難
システム更改にかかる費用は、ハードウェアの購入費や保守費用だけでは終わりません。ソフトウェアライセンス費、構築費、そして最も見えにくく、かつ大きな負担となるのが「人件費」です。
システム選定の検討開始から、ベンダーとの折衝、稟議書の作成、実際のデータ移行作業、そして業務影響を検証するための膨大なテスト作業に至るまで、IT担当者が費やす時間は数か月に及びます。そのため、この人件費を正確に算出し、システム全体のトータルコストに含めるのは非常に困難です。
結果として、コスト全体が不透明になり、経営層への説明責任を果たす上でも、正確なコスト管理が難しくなるという問題を引き起こします。
3. 通常業務と並行する「二重の負担」
システム更改は、単純なPCの入れ替えとは異なり、企業の基幹業務を止めずに遂行する必要がある大規模なプロジェクトです。
移行中のダウンタイムを最小限に抑えるための綿密な計画、膨大なデータの移行作業、そして業務影響を検証するための徹底的なテストなど、通常の業務と並行して進める必要があるため、かなり負荷のかかる作業といえるでしょう。
この数か月にわたるプロジェクトは、IT部門全体のリソースを圧迫してしまうため、IT担当者が本来取り組むべき、より戦略的なDX推進やビジネス貢献のための企画・開発といった業務に集中できないという現状を招いてしまいます。
システム更改の負担を減らす鍵となる「IBM i のクラウド移行」
オンプレミス環境におけるこうした構造的な課題は、IBM i をクラウドへ移行させることで、根本的な解決につながります。
また、クラウドが実現するのは、ITコストの最適化だけではありません。その詳細についてみていきましょう。
1. 従量課金によるコスト最適化と無駄の排除
クラウドの最大のメリットは、オンプレミスの「先行投資」とは真逆の「使った分だけ支払う」という従量課金モデルです。
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初期投資の激減
数年後の成長を見越したオーバースペックな機器を購入する必要がなくなり、初期コストを大幅に抑えられます。 -
柔軟なリソース変更
今、必要なスペックだけを月額で利用できます。繁忙期にはCPUコア数を増やし、閑散期には減らすといった柔軟なリソース変更(スケールアップ・ダウン)も可能です。
これにより、常に最適なコストでシステムを運用でき、不要な投資をなくすことが可能になります。
2. 更改サイクルの簡素化とIT部門の解放
一度クラウドに移行してしまえば、IT部門はハードウェアの老朽化や物理的な更改を気にする必要がなくなるのもメリットです。
クラウド事業者がインフラの管理を担い、常に最新の高性能な環境を提供することができるため、数年ごとに繰り返される物理的な更改プロジェクト(機器選定、発注、設置、移行作業)そのものが不要になるからです。
そのため、IT担当者は、この煩雑で多岐にわたる作業から完全に解放され、システムを「維持管理する人」から「企業の成長のための戦略的なIT活用を推進する人」へと役割をシフトできるでしょう。
3. DX推進の足がかりとなる圧倒的な柔軟性
クラウド環境は、IBM i の柔軟性を劇的に高めることが可能です。
従来のオンプレミス環境では、IBM i のデータをSaaSや新しいクラウドサービスと連携させる際、ファイアウォールの設定変更、VPNの構築、さらにはデータ形式の複雑な変換処理など、多くの工数と高度なネットワーク技術が必要でした。
しかし、クラウド環境に移行すれば、セキュアなネットワーク基盤が既に整備されているため、煩雑な設定を大幅に省略でき、API連携やデータ連携サービスを迅速に活用し、データドリブンな意思決定へとスムーズに移行できます。
また、外部連携がスムーズなので、基幹システムのデータを活用した新しいサービス開発や業務改善が容易になります。
これは、企業のDX推進にとって強力な追い風となり、IT部門がビジネスに直接貢献するための足がかりとなるでしょう。
クラウド移行は、IT部門の役割を変革する投資
システム更改は、単なるコスト削減や業務効率化のためだけに行うものではありません。
IT部門の役割を、「システムの維持管理」から企業の成長を牽引する戦略的パートナーへと進化するための、極めて重要な戦略的投資です。
IBM i のクラウド移行を進めることにより、煩雑なシステム更改の負担を軽減し、IT担当者がより戦略的な業務に集中できる環境を整えることができるので、IT部門は企業の成長に直接貢献するプロフィットセンターへと進化できるのです。
しかしながら、「クラウド化って、本当にうちの会社でもできるの?」と不安に思っていらっしゃる方も多いでしょう。
その不安を解消するのが、IBM i のクラウド移行と運用をトータルでサポートするサービス「PVS One」です。
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PVS Oneを利用することで、お客様はシステム更改の負担から解放され、コストを最適化し、本業の成長かかわる戦略的業務に集中することができる環境を作るサポートが可能です。
システム更改の負担でお悩みのIT担当者の皆様、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
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