本セミナーは、株式会社コグレスとMONO-Xの共催で実施され、IBM i をご利用のお客様が直面しやすい「Salesforce導入におけるデータ連携の課題」に焦点を当てました。Salesforceの基本機能から、IBM i との具体的な連携手法まで、幅広く解説されました。
第1回では、Salesforceの概要と、IBM i とのデータ連携の重要性について解説しました。第2回となる今回は、より実践的な内容として、IBM i とSalesforceを実際にどのように連携させるのか、その具体的な手法と、IBM i 全体のモダナイゼーション戦略について掘り下げていきます。ぜひご一読ください。
多くの企業で基幹システムのAPI化の重要性が叫ばれてきましたが、その実現には高い費用や専門知識が必要な場合が少なくありませんでした。この課題を解決するために開発されたのが、弊社が2021年にリリースした「API-Bridge」です。API-Bridgeは、月額費用を抑えながら、多くのIBM i ユーザーが外部のSaaSやウェブアプリケーションとAPI連携できるよう設計されています。
現在のIBM i ユーザーに求められるモダナイゼーションは、大きく分けて「インフラのモダナイゼーション」と「アプリケーションのモダナイゼーション」の二つの側面があります。API-Bridgeは、後者のアプリケーションのモダナイゼーションを加速させるツールです。
信頼性の高い基幹システムとしてのIBM i の強みを活かしつつ、Salesforceのような最新のSaaSとAPI連携を組み合わせることで、企業の競争力を高めることが可能になります。
API-Bridgeを活用することで、IBM i とSalesforceは主に以下の2種類の連携方法でつながることができます。
このパターンは、IBM i に蓄積されたデータをSalesforceに定期的に送る場合に用いられます。
◦ IBM i からCSV形式でデータを抽出し、Salesforceにアップロードする方法です。シンプルですが、手動での作業や転送のための仕組みが必要になることがあります。
◦ より自動化された方法として、IBM i からCLコマンドを実行してSalesforceのAPIを直接呼び出すことができます。弊社のAPI-BridgeクライアントをIBM i に導入することで、これが容易に実現可能となります。
◦ 例えば、IBM i に登録された製品マスターデータを定期的にSalesforceに送りたいといった場合に、CLコマンド一つでAPIを実行し、データを自動で更新するといった連携が可能です。5250画面上でAPIの実行内容やセキュリティトークンの設定、SalesforceからのJSONレスポンスをIBM i のデータベースに取り込む設定なども行えます。
このパターンは、Salesforce側からIBM i のデータやプログラムロジックをリアルタイムに利用したい場合に有効です。バッチ連携に比べると難易度は上がりますが、より高度な連携が可能になります。
◦ Salesforceのプログラミング環境であるApexから、API-Bridgeを介してIBM i 上に公開されたAPIを実行し、その結果をSalesforceに表示するといった連携が可能です。
◦ 具体例としては、IBM i に長年培われた納期計算のロジック(在庫データベース、営業日データベース、顧客データベース、配送区分などを参照して納期を算出するRPGプログラム)をAPIとして公開するケースが挙げられます。Salesforceの営業担当者が商談中にリアルタイムで納期を確認したいといった場合に、このAPIを呼び出すことで、IBM i の正確なロジックに基づいた納期を即座にSalesforce画面上に表示できるようになります。
STEP1 : APIを作成する IBM i のエンジニアが、どのRPGプログラムのロジックをAPIとして公開するか、どのようなURLやパラメータで実行するかを定義します。
STEP2 : 必要に応じて各種設定を行う API-Bridgeを使って、APIの仕様出力やセキュリティ等の設定を行います。
STEP3 : 外部からAPIを実行する Salesforceのエンジニアが、公開されたAPIを呼び出すプログラム(Apex)を作成し、実行します。
この方法の大きなメリットは、Salesforce側のエンジニアがIBM i の内部構造を全く知らなくても、IBM i のデータやロジックを利用できる点です。IBM i のエンジニアはAPIの準備に集中し、Salesforceのエンジニアはそれを呼び出すことに集中できるため、役割分担が明確になり、連携開発がスムーズに進みます。API-Bridgeでは、データベースからのデータ取得において、ファイルをドラッグ&ドロップで選択・結合することでSQLを自動生成し、APIを作成することも可能です。
SalesforceとIBM i のデータ連携を検討する際、すべてのIBM i データをSalesforceに連携することが常に最善とは限りません。
多くの場合、IBM i のデータがインターネット経由で見られない、あるいは5250エミュレーターの画面が見づらい、といった理由からSalesforceでの表示を望む声があります。しかし、もしIBM i のデータが、インターネット経由で、より見やすいWeb画面で確認できるのであれば、Salesforceへの完全な連携が不要になるケースもあります。
ここでご紹介するのが「MONO-X One」というノーコードツールです。MONO-X Oneは、IBM i のデータをデータソースとして活用し、ドラッグ&ドロップ操作で様々なWebアプリケーションを簡単に作成できます。これにより、IBM i のデータをモダンなWebインターフェースでインターネット経由で閲覧できるようになり、データ連携の複雑さを回避しつつ、業務効率化を図ることが可能になります。これは、データ連携における「第3の選択肢」とも言えるでしょう。
データ連携だけでなく、IBM i のインフラ自体をモダナイズすることも、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる上で重要です。弊社の「PVS One」は、IBM i をIBM Cloud上のPower Virtual Serverとして利用することを支援するサービスです。
PVS Oneの主なメリットは以下の通りです。
PVS Oneは、API-Bridgeのようなツールとの親和性も高く、IBM Cloudの柔軟なネットワーク構成変更の恩恵を受けられるため、SalesforceのようなSaaSとの連携をよりスムーズにします。証券会社のようなミッションクリティカルなシステムでも採用されており、クラウド化によって新しい取り組みのスピードが増したというお客様の声が多く寄せられています。
今回の二回にわたるブログでは、IBM i ユーザーの皆様が長年投資されてきた貴重なプログラム資産を最大限に活用し、ビジネスをさらに加速させるための方法をご紹介しました。
IBM i の「堅牢な記録力」とSalesforceの「顧客接点における分析・活用力」をAPI連携で結びつけることで、データが分断された現状を打破し、営業活動の生産性向上、ひいては企業全体の競争力強化を実現できます。
もし、Salesforceの導入をご検討でしたら、豊富な実績を持つコグレス様に、IBM i との連携を含めたご相談でしたら、API-Bridgeを提供する弊社MONO-Xに、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼「API-Bridge」についての詳細は以下リンクをご覧ください。
API-Bridge公式サイト
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▼MONO-X Oneについての詳細は、こちらをご覧ください。
MONO-X One 公式サイト
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▼PVS Oneについての詳細は、こちらをご覧ください。
PVS One 公式サイト
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