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watsonx Orchestrateとは?AIエージェントで業務プロセスを自動化する

作成者: admin|Sep 30, 2026, 8:30:00 AM

 

watsonx Orchestrate(ワトソンエックス・オーケストレート)は、AIエージェントを作り、動かし、管理するためのIBMの基盤です。人事の手続き、調達の承認、問い合わせ対応といった、複数のシステムをまたぐ業務をAIエージェントに任せるために使います。社内にAIエージェントが増えても、1か所で統制できるのが特長です。この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、何ができるのか、自社の業務にどう使えるのかを解説します。

(出典:IBM watsonx Orchestrate 製品ページ(日本語))

 

 

IBMは、watsonx Orchestrateを「すべてのAIエージェントを1つのコントロール・プレーンで構築・管理する包括的なエージェント管理プラットフォーム」と説明しています。

かみくだくと、代表的なものとして、次の4つを1つの製品で行える基盤です。

  • 作る:業務を担当するAIエージェントを作る
  • 動かす:作ったエージェントを、社員が使える場所(チャットなど)に届ける
  • つなぐ:複数のエージェントや既存システムを連携させ、一連の業務を進める
  • 管理する:誰が何を使えるか、どんなルールで動くかを統制し、品質やコストを見張る

ポイントは、「1つのAIに何でもさせる」のではなく、「役割の違う複数のAIエージェントやツールをまとめて動かす」ことです。オーケストレート(orchestrate)は「指揮する」という意味で、オーケストラの指揮者のような役割を担います。

「AIエージェント」と「生成AI」は、よく混同されます。違いは次のように整理できます。

 

生成AI(チャットAIなど)

AIエージェント

動き方

聞かれたら答える

目的に向かって手順を実行する

例

「経費精算のルールを教えて」に答える

申請内容を確認し、規程と照合し、承認者に回す

人の関わり方

答えを読んで、人が作業する

人は確認と承認を中心に関わる

生成AIは「答えを返す」のが仕事です。AIエージェントは、その答えをもとに「システムを操作し、手順を進める」ところまで行います。watsonx Orchestrateは、このAIエージェントを業務で安全に使うための基盤です。

 

主な機能は、次の5つです。

  • エージェントの構築:業務を担当するAIエージェントを作れます。IBMやパートナーが用意した既製のエージェントやツールのカタログも使えます。
  • 既存エージェント・ツールとの連携:社内外のエージェント、ツール、ワークフローを組み合わせ、複雑な業務を一連の流れで実行します。Amazon Bedrockなど他の環境のエージェントも取り込めます。MCPやA2Aといった共通規格(AI同士やAIとツールをつなぐ仕組み)にも対応しています。
  • 動作の評価:利用者の反応や運用データをもとに、回答の信頼性や、ツール操作の成功率を追跡します。
  • アクセスとポリシーの統制:誰がどのエージェントを使えるか、個人情報などの機密データをどう扱うかを、全エージェントに一貫して適用します。
  • 利用量の可視化:AIの利用量(トークン)や、AIモデルの呼び出し回数を時系列で確認し、コストを管理できます。

(出典:IBM watsonx Orchestrate 製品ページ(日本語))

IBMは、主なユースケースとして次の業務を挙げています。自社の業務に置き換えながら読んでみてください。

業務領域

AIエージェントに任せる作業の例

人事・従業員サービス

就業規則などの問い合わせ回答、入社手続き、システムの権限申請

調達・購買

請求書と発注の照合、取引先の確認、承認の回付、例外の処理

カスタマーサービス

問い合わせ内容の把握、回答案の作成、担当者への引き継ぎ

社内ナレッジの照会

業務手順書やマニュアルからの回答。どの文書にもとづく回答かも示す

公表されている事例には、次のようなものがあります。

  • Recording Academy(米国):チケット対応の効率が80%向上
  • Riyadh Air(サウジアラビア):パートナー企業との59の業務の流れを統合

(出典:IBM watsonx Orchestrate 製品ページ)

共通するのは、「判断と入力を伴う定型業務」であることです。完全に決まった手順ならRPAでも自動化できます。一方、申請内容を読んで判断したり、例外を見分けたりする業務は、AIエージェントが得意とする領域です。

 

IBM i(AS/400)を基幹システムとして使っている企業にとって、watsonx Orchestrateには特別な意味があります。基幹システムに長年蓄積されたデータを、周辺業務の自動化に活かせるからです。

IBM i の業務を、AIエージェントに任せる場面

たとえば、次のような業務が考えられます。

  • FAX受注の入力:届いたFAXの注文書をAIが読み取り、内容を確認したうえで受注データとして登録する
  • 月次処理の実行と結果チェック:決められた順番でバッチ処理を実行し、結果のエラーや異常値を確認して担当者に報告する
  • 照会・データ抽出:「先月の得意先別売上を出して」といった依頼に、AIエージェントがIBM i からデータを抽出して答える

いずれも、今は人が5250画面を操作したり、帳票を見比べたりしている業務です。

IBM i 側を大きく改修しなくてもできること

AIエージェントとIBM i をつなぐ方法は、要件によって変わります。一般的には、次のような考え方があります。

  • IBM i のデータをSQLで参照する仕組みを用意し、AIエージェントから呼び出す
  • IBM i の処理をAPI(外部から呼び出せる窓口)として公開し、AIエージェントのツールとして登録する

既存のRPGプログラムを書き換えずに、データの参照や処理の呼び出しから始められる場合も多くあります。どこまで改修せずにできるかは、システムの作りと要件次第です。

MONO-Xでは、IBM i 向けのAIエージェント開発支援ツール「API-Bridge for AI Agent」を提供しています。また、IBM Cloud上でwatsonx Orchestrateと連携し、AIエージェントの開発環境を約2時間で用意できる仕組みを構築しています(出典:IBM 事例紹介:MONO-X)。API-Bridge for AI Agentは、AIエージェントがIBM i のどこまでを見てよいかを絞り込むMCPサーバーです。AIに広い権限(*ALLOBJ)を与えずに、必要なデータや処理だけを渡せます。また「PVS One for AI Agent」を使えば、本番環境に影響を与えずに、クラウド上でAIエージェントの動きを試せます。

エージェントが増えたときの「管理」の問題

AIエージェントは、作りやすくなるほど数が増えます。部署ごとに似たエージェントが作られたり、誰が作ったか分からないエージェントが動き続けたりする問題が起こりやすくなります。基幹システムのデータを扱うなら、なおさら注意が必要です。

そのため、次の仕組みが欠かせません。

  • 一元管理:どんなエージェントが、どこで動いているかを把握する
  • 権限:どのエージェントが、どのデータに触れてよいかを決める
  • 監査:エージェントが何をしたかを、後から確認できるようにする

watsonx Orchestrateが「作る」だけでなく「管理する」機能を重視しているのは、このためです。

IBM i の開発・保守をAIで効率化したい場合は「IBM Bobとは?」も参考にしてください。

watsonx Orchestrateは、次の環境で利用できます。

  • クラウド(SaaS):IBM CloudまたはAWS上の、IBMが運用するサービスとして使えます。AWS Marketplaceからも購入できます。
  • オンプレミス:自社の環境で動かすこともできます。

料金プランは、次のとおりです(税別・月額)。

プラン

月額(税別)

主な内容

Trial

無料(30日間)

エージェントの構築、チャット画面、ツール・連携カタログ、評価機能などを試せる

Essentials

84,500円

エージェント構築、ワークフローと文書処理、カスタムツール作成、セキュリティとアクセス制御など

Standard

1,014,000円

Essentialsの全機能++利用上限の引き上げ(利用者数、文書量、メッセージ処理量など)

Premium

個別見積もり

Standardの全機能+データの分離、専用データ領域など

※料金やキャンペーンは変更される場合があります。最新情報はIBM公式ページでご確認ください。(出典:watsonx Orchestrate 料金ページ(日本語))

費用は、どれだけの人がどれだけ使うかで決まります。まずは無料のTrialで、1つの業務を試してみるのが現実的です。

AIエージェントの導入でつまずく原因の多くは、技術ではなく「どの業務から始めるか」が決まっていないことです。導入前に、次の4点を整理しておきましょう。

  1. どの業務から始めるか
    いきなり全社に広げず、「まず1業務から」が鉄則です。件数が多く、手順がある程度決まっていて、効果を測りやすい業務が向いています。

  2. 既存システムとどうつなぐか
    AIエージェントが参照・更新するデータが、どのシステムのどこにあるかを確認します。IBM i のデータを使う場合は、その連携方法も検討が必要です。

  3. 権限とデータの扱い
    AIエージェントに、どこまでの操作を許すかを決めます。最初は「参照のみ」や「人の承認つき」から始めると安全です。

  4. 効果をどう測るか
    処理時間、件数、ミスの数など、導入前の数字を測っておきます。比べる数字がないと、効果を説明できません。

最初の業務を選ぶには、次の3つの視点で現状を把握することが出発点になります。

  • 現行業務の課題:どこで時間がかかり、どこでミスが起きているか
  • 同業他社との差:他社が自動化している業務を、自社は人手でやっていないか
  • AIで代替できる業務:判断と入力を伴う定型業務は、どこにあるか

「どの業務をAIエージェントに任せるか」は、現状が見えていないと決められません。IBM i 資産と業務を分析し、業務フローを起こして、AIで代替できる業務と改善ポイントを整理する必要があります。

  • watsonx Orchestrateとは何ですか?
    AIエージェントを構築・管理するためのIBMのプラットフォームです。複数のエージェントやツールを1か所で動かし、統制できます。

  • watsonx Orchestrateで何ができますか?
    代表的な機能は4つあります。AIエージェントの構築、既存のエージェントやツールとの連携、動作の評価、アクセスやポリシーの統制です。このほか、ワークフローや文書処理の自動化、APIやMCPサーバーを通じたシステム連携にも対応しています。

  • AIエージェントと生成AIは何が違いますか?
    答えを返すのが生成AI、目的に向かって手順を実行するのがAIエージェントです。AIエージェントは、システムの操作や承認の回付まで行います。

  • watsonx Orchestrateの料金はいくらですか?
    Essentialsが月額84,500円、Standardが月額1,014,000円です(税別)。30日間の無料Trialもあり、Premiumは個別見積もりです。最新情報はIBM公式ページでご確認ください。

  • IBM i のデータと連携できますか?
    連携できます。連携できます。たとえば、MONO-Xの「API-Bridge」を使う方法があります。API-Bridgeでは、IBM i のデータや、既存のRPG・CLプログラムを、GUI操作でREST APIとして公開できます。公開したAPIをwatsonx Orchestrateにツールとして登録すれば、AIエージェントからIBM i を扱えます。実際にどこまで連携できるかは、システムの構成と要件によって変わります。


watsonx Orchestrateは、AIエージェントを作り、動かし、管理するためのIBMの基盤です。人事・調達・問い合わせ対応など、判断と入力を伴う業務の自動化に使われています。

IBM i を使う企業にとっては、長年蓄積してきた基幹データと業務ロジックが、AIエージェントの力を引き出す資産になります。ただし実際に進めるには、次の3つの壁を越える必要があります。

  • つなぐ:IBM i を大きく改修せずに、AIエージェントから使える形にする
  • 守る:AIに渡す権限を、必要なデータと処理だけに絞る
  • 試す:本番環境に影響を与えずに、効果と安全性を確かめる

MONO-Xは、IBM i の資産と業務の分析から、API-BridgeやMCPサーバーによる連携、クラウド上の検証環境まで、この3つを一貫して支援しています。

どの業務からAIエージェントに任せるか、まずは現状の見える化から一緒に考えませんか。

※本記事は、弊社ブログや出典・参考記事の内容をもとに、編集部が作成しました。

 

「PVS One」では、IBM BobのライセンスをPVS Oneのサブスクリプションから消化・充当できるだけでなく、本記事のようなAIエージェントの検証を安全に行えるサンドボックス環境「PVS One for AIエージェント」や、「API-Bridge for AIエージェント」の無償利用特典をご用意しています。IBM iのAI活用や開発環境の効率化・検証環境についてご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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