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PVS OneとFalconStor StorSafeで実現!IBM i の柔軟なクラウド災害対策

作成者: admin|Oct 29, 2025 2:42:42 AM

本記事は、BCP(事業継続計画)や災害対策について解説するシリーズの第6回です。前回前々回とPVS One iDRの説明をしました。PVS One iDRはオンプレミス環境・クラウド環境のIBM i の災害対策バックアップ外部保管として簡単にご利用いただけます。

クラウドのIBM i環境(PVS環境)でのバックアップ方法は他にもあります。今回は、PVS環境で使用できるバックアップソリューションとしてFalconStor StorSafeを紹介します。

 

FalconStor StorSafeはFalconStor社が開発、販売しているバックアップソリューションです。IBM i で使用する場合はファイバーチャネルやiSCSIで接続して仮想テープドライブとして使用できます。IBM i 側から見ると、LTOの外付けテープライブラリーと同じように見え、同じように利用できます。

最大の特長は重複排除機能で、StorSafeに保管したデータは内部で重複排除を行い、実際の保管データの容量よりも小さい容量でStorSafeに保管できることです。重複排除の度合いは保管するデータにより変わりますが、FalconStor公式では1/20の重複排除率(圧縮率)が達成できると示しています。つまり、1回1TBの日次バックアップを一週間のライフサイクルで取り続ける場合、単純に非圧縮で保管すると合計で7TBになりますが、FalconStorに取得すると350GBの保管容量で済むことになります。

また、FalconStorはVTL間でのレプリケーション機能を持ち、遠隔のFalconStorにデータをレプリケーションすることができます。上記の日次バックアップを遠隔のFalconStorにレプリケーションしておけば、日次バックアップの隔地保管が実現でき、RTOが1~2日の災害対策用バックアップを構築することができます。レプリケーションはテープイメージ単位で行われ、レプリケーション先でも同じテープボリュームとして使用することができます。

オンプレミスのIBM i に接続する場合はファイバーチャネルやiSCSIで接続することができますが、PVSで接続する場合は仮想アプライアンスとしてPower Virtual Serverにデプロイし、iSCSIで接続して使用します。

オンプレミスでの同様の製品としては、Dell EMC社のData Domain等があります。

 

続いて、クラウドを使った災害対策の実装パターンを説明します。

 

① 本番クラウド⇒ DRクラウドパターン

FalconStorは、IBM Cloudのカタログで提供されている仮想アプライアンスであり、PVSでの使用が正式にサポートされているバックアップソリューションです。カタログから注文してセットアップし、PVSに接続すれば仮想テープ装置として使用することができます。

例として、東京と大阪のPVS環境にFalconStorを構築し、レプリケーションの設定を行います。東京で取得されたバックデータは重複排除され、実際より少ない容量で保管されます。

仮想テープ媒体をUnloadすると、バックアップが終わったことを検知し、バックアップデータはレプリケーション設定された大阪のFalconStorにコピーされます。既に重複排除された少ない容量のデータの転送で、かつ高速なクラウド間のネットワークを利用してコピーされますので、比較的短時間で遠隔地の大阪にデータを退避できます。

大阪側に災害対策用のシステム(IBM i VM)を立ち上げてあれば、コピーされた日次バックアップからユーザーデータを復元してシステムの稼働が可能になります。

クラウドですので、大阪の災害対策用システムは被災時に作成することでコスト削減も可能になります。

 

 

本番オンプレミス⇒DRクラウドパターン(オンプレミスにFalconStorアプライアンス導入)

このパターンは、本番オンプレミス側にFalconStorアプライアンスを導入し、クラウドのFalconStorにレプリケーションを行う構成です。FalconStorの構成は、前述のクラウド間での構成と同様になります。システム環境については、別途FalconStorに保管するか、別の方法で災害対策環境のクラウド側に転送しておきます。災害対策側にはFalconStorだけでデータを隔地保管しておくに留めておくことも可能ですし、あらかじめ災害対策用のIBM i VM環境を構築しておくことも可能です。

お客様の災害対策要件(RTO/RPO)と予算に応じて構築することが可能です。クラウドは従量課金になりますので、オンプレミスの災害対策環境を構築するよりはコストを抑え、拡張性に優れた環境を構築することが可能になります。

③ 本番オンプレミス⇒DRクラウドパターン(FalconStorはクラウドのみでiSCSIリモート接続)

FalconStorはIBM i との接続にFC接続とTCP/IPネットワークを使ったiSCSI接続が可能です。クラウドにFalconStorを構築して、オンプレミスのシステムとiSCSIで接続します。オンプレミスのシステムでテープライブラリーとして認識しますので、バックアップの取得が可能になります。ただし、通常のテープライブラリーと異なり、TCP/IPのネットワークで接続され、間にWANが入りますので、インターフェースの速度やネットワークのレイテンシーの影響を受けます。そのため、通常のオンプレミスのテープ装置より保管速度は遅くなります。よって、通常の日次バックアップやシステムバックアップはオンプレミスのテープ装置やOSの仮想テープドライブ、または保管ファイル(SAVF)で取得し、取得後にテープの複写(DUPTAP)で遠隔地にコピーするのが現実的になると思います。

この構成は弊社でも実際に構築してテストを実施し、問題なく稼働することを確認しています。こちらもクラウド側に災害対策用のシステムを構築しておくかどうかは、お客様の災害対策要件(RTOやRPO)に合わせて、事前に構築しておくことも可能ですし、災害対策発動時に構築することも可能です。

 

今回は、IBM Cloud Power Virtual Serverに構築できる仮想テープライブラリー『FalconStor StorSafe』を使ったデータの遠隔地保管および災害対策の手法についてご紹介しました。前回ご紹介したiDRと同様に、データの隔地保管だけでなく、お客様の災害対策要件に応じてIBM i のVMを事前にご用意することや、通常時はVMを削除しておいて災害対策発動時にVMを立ち上げるパターンも可能になります。

バックアップデータ量が多いケースや、日次バックアップからデータの参照や復元する頻度が比較的多いお客様には仮想テープライブラリーをお勧めします。また、区画が複数あり、お互いの区画のテープを参照・復元するケースがある場合も、仮想テープライブラリーをお勧めします。

iDRと同様に、災害対策は『データの遠隔地保管』『災害対策発動時のクラウドマシンの準備』『クラウドへのネットワーク接続』が考慮のポイントとなりますが、MONO-XはIBM Cloudの知見と様々なソリューションを組み合わせ、お客様に最適な災害対策をご提案することができます。まずはぜひご相談いただければ幸いです。

 

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