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PVS環境でのバックアップをより柔軟にーDR、システム移行でも活用できる「PVS One R2」とは?

作成者: poster|Oct 15, 2025 7:24:30 AM


PVS (IBM Power Virtual Server) 環境への移行や運用において、物理テープ装置が利用できない中でのデータ保全戦略は不可欠です。

PVS環境でのデータバックアップ運用では、仮想テープ機能を利用する手法として、IBM提供のLPPであるBRMS (Backup and Recovery Media Services for i) とICC (IBM Cloud Storage Solutions for i) を組み合わせた方法が広く用いられています 。

本記事では、同様に仮想テープ機能を活用した弊社独自のソリューション『PVS One R2 (Remote Replication)』 について、その主要な特長と既存の方法と比較した柔軟性に焦点を当ててご紹介します。

 

PVS One R2は、IBM i OS機能である仮想テープ装置の機能を活用したソリューションです。




このソリューションは、バックアップ・データをIBM i があれば復元できるOSネイティブの形式(IMGCLG)で保持します。

これにより、データの独立性と高い復元性を確保し、長期保管や災害対策(DR)、システム移行といった多様な局面で柔軟に対応できます。

 

イメージ管理の柔軟性

PVS One R2は、仮想テープを利用したバックアップ手法において、BRMSとICCを組み合わせた方法と比較して、高い柔軟性を提供します。

BRMSとICCを組み合わせた方法では、仮想テープ・イメージの名称がBRMSによる自動命名(Qnnnnn)となるため、BRMSの設定情報を考慮しなければ、BRMS外からの操作が難しい場合があります。

一方、PVS One R2では、仮想テープ・イメージの名称を任意に命名することが可能です。

また、データ退避先についてもPVS One R2はIBM Cloud Object Storage (ICOS) の他に、NAS/NFSサーバーやFTPサーバーを選択できる柔軟性を持ちます。

 

効率的な圧縮機能(zLib圧縮)とストレージ空き領域の削減

IBM i の仮想テープ・イメージを用いたバックアップ手法では、OS外部のストレージへ転送する前に、まず自身のIFS領域(IBM i VMのストレージ領域)内に仮想テープ・イメージとして書き出す必要があります。

このため、バックアップ対象データのサイズに応じた十分なストレージ空き領域が必要となります。

PVS One R2ではIBM i のOS機能であるzLib圧縮を積極的に活用することで、ストレージの空き領域要件の緩和が図れます。

特にPower10以降のシステムでは、プロセッサー内に搭載されたNX (Nest Accelerator) のハードウェア機能により、効率的なzLib圧縮が実現されます。

これにより、圧縮処理をCPUからオフロードしつつ、高速で高い圧縮率を実現し、弊社の検証では非圧縮と同時間の保管処理で約1/4~1/5程度のサイズ圧縮が実現しています。

 

システム移行(リフト・アップ)への活用

PVS One R2は、データ退避先としてFTPサーバーを選択できるため、オンプレミス環境からPVS環境へIBM i システムをリフト・アップ(移行)する際のデータ転送手段としても有効です。

オンプレミス側で作成した仮想テープ・イメージをFTP経由でPVS側のストレージに転送し、PVS環境のIBM i VMで復元することで、スムーズに移行作業を進めることが可能になります。

PVS One R2は、これら仮想テープ装置を用いた保管処理から移行先へのデータ転送までの一連の流れをメニュー形式で一括設定できます。

 

災害対策(DR)への適用

PVS One R2は、低コストで信頼性の高い災害対策(DR)の仕組みを構築する手段としても有効です。

本番サイトのPVS環境でPVS One R2を利用し、バックアップ・データをIBM Cloud Object Storage (ICOS) へ退避させます。

その後、ICOSの提供するレプリケーション機能を活用することで、データを遠隔地のリージョン(災対サイト)にあるICOSバケットへ自動的に複製する方法です。

災害発生時や切替訓練時は災対サイトのPVS環境でIBM i VMをデプロイ、遠隔地のリージョンのICOSに複製された仮想テープ・イメージをダウンロード/復元することで、システムを再開できます。

OSネイティブな形式でデータを保持しているため、DRサイトでの復元も確実に行えます。

このDR構成の大きな利点は、クラウド環境の特性を活かし、災対サイトに常時IBM i VMを用意しておく必要がない点です。

データのみをICOSに保全し、システムが必要となった際にVMをデプロイすることで対応できるため、待機系のランニング・コストを削減できます。

また、レプリケーションがIBM Cloudネットワーク内で完結するため、お客様側でデータ複製のために遠隔地への専用ネットワーク(WAN)を別途敷設・管理する必要がない点も、構築・運用負荷の軽減に繋がります。

 

PVS One R2はPVS環境のバックアップ運用だけでなく、オンプレ環境からPVS環境へのリフト・アップやクラウド環境ならではのDRソリューションとしても活用でき、仮想テープ・イメージ管理や転送先の選択肢において高い柔軟性を提供します。

さらに、Power10以降のシステムでは搭載されたアクセラレーターによるzLib圧縮機能を活用することで、ストレージの効率化も図ることができます。

IBM i をクラウド環境で運用することをご検討される際には、お客様の要件に合わせた最適なバックアップ方式をご提案いたしますので、ぜひお声掛けくだされば幸いです。

 

 

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